クラブ創立50周年記念式典

平成19年4月25日(水)16:00~ 全日空ホテルクレメント高松
会長:堀 祥二/幹事:佃 昌道
                  SAA 田中弘之、藤田徳子、大倉秀人


第1部 記念式典  
  開会の辞             向井攻一
  国家「君が代」、ロータリーソング「奉仕の理想」斉唱 大倉秀人
  黙祷(物故会員)
  創立50周年記念式式辞       吉岡耕造

  会長挨拶             堀祥二
  創立50周年祝賀メッセージ     William B. Boyd(RI会長)
  祝辞 RI2670地区ガバナー     飯 忠悟 
      香川県知事        真鍋 武紀
      高松市長         増田 昌三 
      RI7470地区パストガバナー  Sven Johnson

50周年記念事業披露 栗林公園へ「西嶋八兵衛自画像・陶板」贈呈

第2部  記念講演
     演題「教育という大業」 
     講師 RI第2580地区パストガバナー 佐藤千壽(東京東RC)

佐藤千壽様 ご講演要旨

□ Invisible hand
高松南RC初代ガバナーの渡部兼雄さんは私と同期のガバナーで、ガバナーエレクト研修セミナー(GETS)に日本から参加した20数名のガバナーの中で最年長でありました。その後毎年同期会を開きましたが、渡部さんが最年長なので最初の幹事をするということで、約30年前に高松に来て屋島その他を訪れました。そしてまた、太田さんが渡部さんとクラブに同日に入会したということを聞き、因縁があって、渡部さんが太田さんの口を通して私をお呼びになったのではないかと思います。この世の中には人智で計り知れない何かがあると思います。

 

□ Lake PlacidでのGETS
1974-75年度のGETSは米国Lake Placid で開催された最後の年で、当時のGEのBill Robbinsは心の琴線に触れるような話をされる方でした。「文明の価値は何によって計られるか。都市の大きさではない。人口の多さではない。都市の収入の多さではない。それはいかなる人を作ったかである。」「ロータリークラブの価値は何によって計られるか。クラブの大きさ、会員数、会費の大きさではない。そのクラブがいかなる人を作ったかである。」私はこれを職業奉仕に置き換えました。「会社の価値は何によって計られるか。資本金の大きさ、売上高の大きさ、利益の大きさではない。その会社がいかなる人を作ったかである。」

□ 日本はずっと昔から教育熱心な国であった。
明治9年にドイツのベルツ博士が日本に来てすぐ「この国は素晴らしい。私はまず全国を視察して歩いたが、どんな田舎の村に行っても学校がある。その学校は村中で一番良いところにある。村人が道で先生に会うと丁重に挨拶している。これだけ学校の先生が村中から尊敬を集めている国が良くならないはずがない。」といいました。その起源が鎌倉時代に遡る、寺子屋の普及が背景にあったことに繋がりますが、全国に明治初年にはすでに小学校が15,862校ありました。寺子屋では読み書きそろばんを基本に、漢学、詩歌、裁縫、生け花、茶の湯も教えていました。先生方もお坊さんだけでなく、神官、医者、教養のある武士など多士済々でした。明治初期に西欧列強に恐れられるようになったのは、こういう基本的な教育が国民に浸透していたおかげなのです。そしてこの教育は単に知識と理念の切り売りをしただけでなく、その根底に教師に対する尊敬と、それに基づく信頼の絆で生徒と結ばれていたのです。博士はこのことから日本の将来を予測したのです。

 

□ 戦後日本の変質-物質の過剰は精神を貧困にする
戦後の教育はアメリカの民主主義、自由主義を曲解したことにより、無差別、無秩序となって、先生と生徒が友達となってしまいました。めだかの学校ではなくすずめの学校でなければなりません。戦後の日本はお金が大事だ、お金があれば何でもできる、お金で買えないものはないという風潮になりました。しかしこの世の中にはお金で買えないものがいっぱいあります。お金で買えないものにこそ大事なものがあります。ある新聞記者が貧困と、貧富の差が大きい中南米の駐在から帰ってきて、子供が転校し、その父兄会に行くとたまたま寄付金集めをしていました。そして後援会の代表の方が「このお金は見ず知らずの国の生活困窮者のために集めるのではありません。私たちの可愛い子供たちのために使われるのです。よろしくお願いします。」という話を聞いてビックリしました。経済社会において、経営者は株主に雇われている管理人だということが定説となっているとすると、これを学校に置き換えると、学校は授業料を払っている父兄のもの、先生は父兄に雇われているに過ぎない、という考えが出てきます。これは由々しき問題で、そういう潜在意識があれば、以心伝心で必ず子供に伝わるのです。青少年教育の前に考えなければならない事がたくさんあります。

 

□ 礼は身の幹なり、敬は身の基なり
昔の親はたとえ学問がなくても、毎日の姿勢で子供を導いていました。自分の親に感謝できない人が子供を育てられないと思います。道徳教育といっても、それを行なう本人が行動をもって表せなければ、何にもなりません。子供は親の背中を見て育つのです。

□ 西郷南州遺訓
西郷隆盛は徳之島と沖永良部島に島流しにあっていますが、その地元の人たちに教育をしています。ある時西郷が、「一家が平和に暮らすにはどうしたら良いか。」と問うと、その中の一番優秀な子供が「それは五倫(君臣の義・父子の親・夫婦の別・長幼の序・朋友の信)五常(仁・義・礼・智・信)の道を究めることです。」と答えると、「いやいや、そんなのは金看板だ、欲を離れることが第一だ。」と言いました。そして「欲を離れれば慈愛の心が自然に湧き出てくる。」とにかく西郷は度量の大きい人でした。

 

□ 戦前の東京大学、旧制高等学校
当時の大学で学んだことは、「とにかく黙って聴いて、帰って自分で考えなさい。」ということで、講義よりもその間の雑談の方がはるかに面白かったし、そういう先生たちの人生訓が社会に出てからいかに役に立ったことでしょう。そういう応用能力をつけなければなりません。また旧制第二高等学校に入学した時の名校長であった阿刀田先生は、入学式で開口一番「主たる教育の場は教室の外にある。」と言いました。当時の旧制高校入学者数は少なく将来の日本を背負って立つという気風がありました。現在と社会構造が違うので同じには行きませんが、とにかく学校教育よりも人間教育ということでした。

 

□ ロータリーの交換学生
この地区でも長い間青少年交換をしていますが、これは教育上大変良いことだと思います。私の地区でも地区大会の時に、帰国してきた交換学生に発表させています。一般的には地方都市の中流家庭でホームステイをし、決してお客様扱いされません。お茶もう一杯いかがと聞かれたときには「Yes」「No」ではなくて「Yes please」「 No thank you 」と言いなさいとか、発音が悪い時には何度もhost motherに直されるのです。学校に対して企業も悪いところがあります。大学では社会にでて直ぐに役立つ事を教えろと言います。しかし、そんなものは直ぐに役に立たなくなるのです。アメリカでは今のBush大統領の母親であるBarbara元大統領夫人は、Hillary Clinton元大統領夫人よりもはるかに人気があります。彼女は一度も就職をしたことはありませんが、名門大学に講演に呼ばれ、「職業的な成功だけが人生の価値ではありません。人間にはもっと大切な事があります。家庭で子供を育てる事がいかに大切な事か。」ということで、やはり教育の原点は家庭にあるということです。ロータリーも家庭を考えなければなりません。

 

□ マザーテレサの話

マザーテレサの下には世界中の修道院からたくさんの人が来て彼女に感激し、「私たちにできる事があればぜひお手伝いしたい。」と言うと「あなたは直ぐに故国に帰りなさい。そしてあなたの一番近い人を大事にしなさい。」と言います。これも教育の原点は家庭にあるということです。

 

□ ヘッケルの法則
ヘッケルは、ダーウィンの進化論を受け入れ、生物は個体発生と系統発生を繰り返すと言う反復説をたてました。人間の子供は妊娠から出産まで280日という日数を母親の胎内で猛烈な勢いで育って生まれてくるのです。何十万年も繰り返し変化してきたものをその速さで完結するのです。この肉体的変化は精神的にも同じことが言えます。人間は言葉など何もない動物から何十万年もかけて言葉を創ったのです。これは大変なことなのです。ペスタロッチは極端な言い方をしました。ある母親が3歳の子供を抱えてきて「これから子育てをするのですが大事な教育のことを教えてください。」というと「3年遅い。」と言いました。少なくとも3歳までに子供が理解してもしなくても、胎内にいる時から語りかけなければならないのです。

 

□ Choresということ
30~40年前に日経連の定例視察団でアメリカに行った時の話ですが、当時のHarvard大学の教授が「最大の悩みは青少年の不良化」ということでした。その昔にはアメリカの子供たちにはStudy、Work、Choresという3つの仕事がありました。Studyは分かるとして、Workは自分の小遣いは自分で稼ぐということです。そして、もう1つとしてChoresがありました。Choresとは炊事、洗濯、掃除の手伝いなど、家庭内のつまらない、いやな、骨の折れる、金にならないことで、そういったことを嫌がるようになってきました。これが不良化の原因となったのではないかということです。

第3部 記念祝賀会
  ピアノ演奏             吉田沙織
  祝賀演奏             ソプラノ 藤原フサエ ピアノ 植松亜美
  開演のことば           豊田章二
  乾杯               太田英章
  閉演のことば           細溪英一

ソプラノ 藤原フサエさん
ソプラノ 藤原フサエさん

(高松南ロータリークラブ2006-7年度第40回例会として開催)
平成19年4月25日(水)16:00~ 全日空ホテルクレメント高松

Club Banner
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 クラブバナーのデザインは、創立時のテリトリーのシンボル的存在だった栗林公園の「箱松」とロータリーのエンブレムを組み合わせたものです。

 箱松とは、その名の通り箱のかたちを装った松。樹芸の粋を極めた箱松は、ほかには見られない特別名勝 栗林公園ならではの景観をつくっています。

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